1 低髄液圧症候群とは
低髄液圧症候群という病名は、最近耳にするようになった病名ですが、頸椎の捻挫である「むち打ち症」との関連性が指摘されるようになり、交通事故等で長期間後遺症に悩まされている患者が多数いることから注目されている症例です。
この病気の原因についてはいまだ正確には判明していないですが、現時点でこの病気の原因について判明している事項は次のとおりです。
2 低髄液圧症候群の原因
むち打ち症は頭部を揺さぶられることによって起こる症例ですが、そもそも脳と脊髄は、硬膜と呼ばれる袋に入っていて、髄液に満たされています。この髄液の量と髄液圧は通常の状態であれば、一定に保たれています。
低髄液圧症候群は、本来であれば一定であるはずの髄液圧が低い状態にあることが原因で発生すると考えられています。
この病気の症状としては、起き上がると頭痛がするという症状がまず見られます。そして、頚部痛、全身の倦怠感、めまい、吐き気、耳鳴りと様々な体の異常を引き起こしてしまいます。
症状を発症している場合に髄液圧を測定すると正常の数値よりも低いために、この低い髄液圧が症状の原因と考えられています。髄液圧が低くなる原因としては、自律神経の障害や体質的な原因といったものが考えられていましたが、最近では、脊髄における硬膜から髄液が漏れだすことによるということが 報告されるようになりました。
日本では、交通事故にあった際の、むち打ち症の後遺症としてこのような症状を訴える人が多くいるために、事故などによる精神的な問題が症状を引き起こしていると考えられていましたが、髄液圧の低下を示す画像所見や硬膜からの髄液の漏れを認める症例が散見されるようになり、また、漏れを止める治療で症状が改善したという事例も報告されるにいたっています。
また、実際の髄液圧は必ずしも低くないことから、低髄液圧症と言うよりも、髄液が少なくなって症状を出すという意味で脳脊髄液減少症と呼ぶべきであると提唱されています。
3 交通事故の後遺症は弁護士に相談
交通事故でむち打ち症を患った後、その後遺症として、低髄液圧症候群のような症状を発症している場合は、治療期間も長くなる可能性があることから、交通事故の示談交渉等を急いで行うことなく弁護士に相談することがベストです。
示談が完結してしまってはその後の後遺症の治療費用が支給されないといった場合も考えられることから、交通事故にあってむち打ち症を患った時点で、交通事故に精通した弁護士に相談することが、後のトラブルを避けるうえでもベストな選択といえます。