交通事故にあった場合、交通事故そのものの怪我が大きくなくとも、事故後しばらくしてからメンタルに不調をきたす事例があります。
メンタルヘルスのトラブルと事故は直接原因があるのか判断が難しく、家族や同僚など周囲の人間の理解も少ないため事故を受けた被害者が結果的に孤立する不幸な状況に陥りがちです。このような状況を避けるために、メンタルの不調を感じたら、医師や弁護士に早期の相談をしましょう。
例えば神戸で交通事故にあった事例を紹介します。
旅行先の神戸で自分の車を運転していたAさん(30代男性)。
慣れない交差点に注意していたにも関わらず、後ろからスピード違反の地元の家族連れ車両に追突されました。幸いなことに双方の車両に軽度なへこみがついただけでしたが、念のためAさんが病院に行ってみたら頸椎の捻挫が発覚しました。
めまいや痛みなどが発症したため継続しての就労は困難。事故後数か月にわたって休職し、治療費もほぼ全額加害者に支払ってもらいました。
これですべてが終了すればよかったのですが、実際はここからが大変でした。
治療後Aさんが復帰を試みたところ、Aさんの奥さまが異常に気付きました。
事故以前はあまり仕事の話をする人ではなかったのに、最近は帰社後仕事の愚痴しか言わない。
事故は半年近く前で業務にも復帰している話なのに、全て交通事故が原因で人生が台無しにされたかのように話をしている、家で酒を大量に飲むようになり、周囲の人間に当たり散らしている、など明らかに以前と違う人物になってしまったようだ、との話でした。
この場合、Aさんは交通事故後の抑うつ状態が疑われます。
メンタルヘルスのクリニックを受診されることをお勧めしています。
周囲は事故から時間が経ったと考えていても、本人のショック状態は外部からではなかなかうかがい知れません。
交通事故という大きなトラブルが本人のメンタルヘルスにどれだけの影響を与えているかは、きちんと専門家のチェックを受けた方がいいでしょう。
また、保険が適用範囲となるかは判断が分かれますので、弁護士にも相談することをお勧めします。交通事故の案件に慣れた弁護士であれば、交通事故の発生とメンタルヘルスへの影響の時間がずれていることは了承しているはずです。
PTSDなど、時間が経ってからのストレス障害は、本人以外あまり理解されず、事故にあった本人が周囲に当たり散らして周辺の人間まで不幸になる場合があります。
そのような不幸を避けるためにも、医師や弁護士など早めに専門家の意見を受け入れて対応しましょう。