電動キックボードの普及に伴い、電動キックボードに関する事故が増えてきました。
このページでは、電動キックボードの特徴、交通ルールを簡単に解説した後に、電動キックボードの被害にあった、または、電動キックボードで事故を起こしてしまって重傷を負われた方への補償について説明いたします。
目次
1 電動キックボードの特徴と交通ルール
電動キックボードは、道路交通法上の原動機付自転車に該当し、その中で、大きさや最高速度等が一定の基準に該当するものは特定小型原動機付自転車と区分され、16歳以上であれば運転免許不要で運転できます。
運転免許不要であるにもかかわらず、車道を走行する場合は原付と同じルールで走行しなければならないので、交通ルールを知らずに走行して事故が起きることがあります。飲酒運転をしてはいけませんし、一時停止線の手前で一時停止する必要がありますし、二段階右折が必要な交差点もあります。
電動キックボードは、原則として歩道を走行できません。例外的に、「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識がある歩道で時速6km以下であれば走行可能です。しかし、歩道で時速6km以下で走行する電動キックボードは少ないように見受けられますので、歩道で歩行者との事故が起きることもあります。
電動キックボードは、タイヤが小さいことで段差や地面の凹凸により転倒する危険性があります。
また、電動キックボードは、ヘルメット着用が努力義務ですので、ヘルメットを装着せずに走行できます。そのため、事故が起きた時に頭部を打って重傷になる場合もあります。
2 電動キックボードに関して重傷を負われた方への補償について
このように、電動キックボードには、事故が起きやすい、事故が起きた時に重傷を負いやすいという特徴があります。
<電動キックボードに衝突された方>
歩道などで、電動キックボードに衝突されて被害にあわれた方は、電動キックボードの所有者が任意保険に入っていれば治療費や慰謝料などを任意保険会社に請求できます。任意保険に入っていなくても、自賠責保険の加入は義務づけられていますので、自賠責保険への請求が可能です。
<電動キックボード運転中に車などに衝突された運転者の方(過失小)>
電動キックボード運転中に、自動車などに衝突されて被害にあわれた電動キックボードの運転者の方で、電動キックボードの過失のほうが小さい場合は、加害自動車などの任意保険会社や自賠責保険に治療費や慰謝料などを請求することができます。
<電動キックボード運転中に車などに衝突された運転者の方(過失大)>
電動キックボードと自動車等の事故で、電動キックボードの方の過失が大きい場合でも、過失が100対0でない限り、自動車などの自賠責保険に対して、治療費や慰謝料などを請求することができます。
自賠責保険の保険金は2種類に分かれています。
「傷害(治療費、慰謝料、休業損害等)」と「後遺傷害・死亡」です。
「傷害」は上限が120万円です。
「後遺障害」は等級によって保険金が異なります。14級で上限75万円、12級で上限224万円が、10級で上限461万円が支給されます。
「死亡」の場合は上限3000万円が支給されます。
※自賠責保険には重過失減額があります。
傷害:過失7割以上10割未満で2割減額。
後遺障害・死亡:7割以上8割未満で2割減額、8割以上9割未満で3割減額、9割以上10割未満で5割減額。
このように、ご自身の過失が大きくても自賠責保険から補償を受けることが可能な場合がありますし、後遺障害の等級によって金額も異なってきます。
3 まとめ
このように、電動キックボードが関係する事故で骨折、頭部損傷、脊髄損傷などの重傷を負われた方は、適切な後遺障害の認定を受けることにより、保険の種類や等級に応じた保険金や慰謝料等を受け取ることができます。
後遺障害に関する専門的な知識がある弁護士が関与したほうが、適切な等級の認定を受ける可能性が高くなります。
保険会社や医師任せにして後遺障害診断書を作成して後遺障害の認定を受けた結果、本来認定されるべき等級が認定されないということは残念ながら往々にしてあります。
また、どのような場合にどこに何を請求できるかということは、過失割合やご自身や相手方の保険の種類によって異なってきます。
電動キックボードが関係する事故で重傷を負われた方は、是非、弁護士にご相談ください。
Last Updated on 2024年11月19日 by user_koberise-jiko