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遷延性意識障害(植物状態)の方へ。賠償金や治療、どうすれば?

1 重度障害(遷延性意識障害)の方へ

 遷延性意識障害とは

交通事故で頭部を強打するなどして意識が戻らず、いわゆる植物状態になることを遷延性意識障害(せんえんせい・いしきしょうがい)と言います。

意思の疎通が全くできないか非常に困難、体を動かせない、一人で食事をとることができない、一人で排泄ができない等といった状態です。

被害者の介護が必要なため、ご家族の方の身体的・経済的、精神的な負担は計り知れないものがあります。
そのような中で保険会社担当者と話をしたり交渉をしたりすることは相当の負担がかかります。

警察の捜査と刑事裁判


遷延性意識障害になった場合、事故の悪質性とご家族の方の被害感情にもよりますが、警察官と検察官の捜査後、正式な公判請求(起訴)がなされることがあります。
その場合、刑事裁判で加害者(被告人)の言い分を傍聴したり、被害者参加制度を利用してご家族の方の意見を述べたりすることができます。
被害者参加制度についても弁護士に依頼することができます。

正式な裁判になった場合は、裁判所に提出された書証を謄写することができます(関係者のプライバシー保護のために謄写が制限されることもあります)。
正式な裁判にならず、略式裁判によって罰金で終わった場合でも、捜査資料の一部を謄写することができます。

 

治療と症状固定

遷延性意識障害になった場合、まずは病院で治療を受けることになります。意識が戻らない状態が続いたとしても、事故から1年ほどは治療を続けることが多く、事故から1年ほどで症状固定となるケースが多いです。

症状固定後、後遺障害の認定申請を行います。
介護の程度に応じて等級が分かれますが、常時介護が必要であれば「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」として別表一の1級1号が認定され、随時介護を必要とする場合であれば「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」として2級1号が認定されます。

 

症状固定後

本来であれば、被害者の方の意思に基づいて示談や訴訟を行います。
ところが、後遺障害1級や2級が認定された場合、被害者の方の意思疎通ができないまたはほとんどできない状態です。

そのため、成年後見の申し立てを行い、被害者の方に成年後見人をつけなければなりません。成年後見人とは被害者の方に代わって意思決定や財産管理をする立場の人です。
成年後見人には、ご家族の方や弁護士が選任されます。
なお、ご家族の方がご高齢であれば、通常は弁護士が選任されることになります。

成年後見人から弁護士が依頼を受けて保険会社と交渉をしますが、後遺障害1級や2級の場合、裁判基準で損害額を算定すると非常に高額になり、保険会社も裁判基準を前提にした金額を話し合いで支払うことはほとんどありませんので、通常は訴訟をすることになります。

 

訴訟提起(損害賠償)

遷延性意識障害で一番争いになるのが将来介護費です。
将来介護費とは、被害にあわれた方を介護するための費用で、在宅介護か施設介護かによって金額が大きく変わります。

後遺障害1級で在宅介護の場合、ご家族の方が介護をされる場合でも1日あたり8000円という計算で、被害者の平均余命までの日数分の介護費が計算されることが多いですが、日額は事案によって増減します。

在宅介護や職業介護の必要性の立証は、専門家でなければ困難な場合が多いと言えます。
家屋改造費についても専門的な立証が必要となります。

 

弁護士のサポート

こうした一連の流れをご家族の方だけで行うのは非常に困難です。

当事務所では、重度後遺障の被害者ご家族の方の金銭的な解決だけを目指しておりません。
ご家族の方の今後の生活の不安、被害感情、加害者に対する処罰感情の心理的側面のケアを重視しています。
弁護士が寄り添って最大限のサポートをいたします。

 

2 大切なご家族を亡くされた方へ

大切なご家族を交通事故で亡くされたら、言葉では言い表せない悲しみに襲われていることとお察しいたします。

もちろん、加害者には相応の刑事処罰が下されるべきです。
刑事裁判で被害者参加制度を利用することによって真実に迫り、ご遺族の処罰感情を意見したり、加害者の罪の意識の声を聞いたりすることができます。

加害者に刑事処罰が下ってもご家族が帰ってくるわけでもありませんし、ご遺族の感情が納得することもありませんが、お墓に眠るご家族にご報告をする区切りにはなるかと思われます。

かけがえのないご家族の命は、金銭に変えることはできません。
しかしながら、お亡くなりになった方の無念を晴らすには、現代の社会制度のもとでは、刑事処罰を除いては損害賠償という制度しかありません。
ここにどうすることもできない矛盾があります。

当事務所では、適切な賠償を請求することだけではなく、こうした矛盾をご遺族の方とともに解決していくことも目指しています。
少しでもご遺族の方に心の平穏が訪れるようにサポートをいたします。

 

重度障害(遷延性意識障害)の解決事例

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自転車と自動車の事故で言語機能障害(後遺障害1級)になった50代女性の賠償金が、約6000万円増額した事例

Last Updated on 2022年2月10日 by hbKgdLQSdgROBUU09W1o6LNBxJPcYvDe

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